やっちまったぁ……。
いつかしでかすんじゃないかと思っていたら、案の定だ。オレの場合、悪い予想は大概あたる。
何をやっちまったのか? 尾行がバレたのだ。それも即効に。ターゲットの真後ろについていたらクシャミが出てしまい、まさに写真を撮ろうとしてる瞬間をおさえられたのだ。この状況で三流探偵がすべきことは、すべて正直に話すこと。
ただし、タダでは転ばないのが、オレがオレであるゆえん。今回のターゲットである「フェレナ 神戸」のさえちゃんに交渉したところ(人によっては土下座して嘆願しただけという意見もあるが)、何と自宅での取材をOKしてくれたのだぁ! しゃぁぁぁッ!!
ということで、コーナー史上初のキャバ嬢自宅潜入をお届けしよう!
さえちゃんとの約束で、朝起きたら連絡が入り、自宅に入れてもらうことになっている。
靴下に穴開いていないか? てか、オレの足、古い生ハムみたいなニオイしてないか? 人気キャバ嬢の自宅に上がるという緊急事態で、ムダに緊張する。
道端で四十路のオッサンがモジモジしていると、さえちゃんから電話がかかる。
「入ってきてもらっていいですよ」
「ありがとうございます♪」浮かれた気持ち全開の自分の声にドン引きする。
エレベーターを上がり、指定された部屋番号のチャイムを押すと、カチャリとドアが開く。愛犬のチクワちゃんとのツーショットでお出迎えだ。
何だなんだ、このカワイさは。さえちゃん単独でもカワイイのに、そこに子犬を盛ってくるとは。
さえちゃんはスレンダーなスタイルで、顔はキュートな感じ。いまどきのアイドルグループのメンバーにいても全然おかしくないレベルだ。
部屋はほのかに甘い香水の香りが漂っており、部屋に通してくれる彼女の後ろ姿とシンクロし、アカン妄想がゆらゆらと立ちのぼる。
「朝ごはんは食べた?」邪念を払いのけるため、意味のない質問をする。
「あっ、こめんなさい。さっき、ドーナツ食べちゃいました」
どうして謝るのかはじめは分からなかったが、すぐにオレとアシスタントのKに朝ごはんを用意していなかったことを申し訳なく思ってくれていることに気づく。めちゃめちゃいいコやん!
「それじゃ私、お風呂入るので」
えっ?! お風呂入るので……何だ? 覗いちゃダメよということなのか、それともセクシーなショットを撮ってね、ウフ♡ということなのか? そこんとこオッサンにも分かるよう、ちゃんと語尾までしっかり言ってくれ。
おそるおそる確認したところ、残念ながら前者。しかし自撮りはOKしてくれたぞ♫
仕事がある日は、昼ごはんはほとんど自分で作るそうだが、この日はお店の友だちとランチの約束をしているということで、オレたちも同行。
神戸の某カフェに行くと、すでに友だちは到着している。事情を知っているようで、「探偵さんだ、探偵さんだ! でも何か、ぽくない〜」
「メガネかけて、小さいところはコナン意識しているのかなぁ」と、言いたい放題である。
普通ならカカト落としをおみまいするところだが、みんなカワイイので許す! いやマジで「フェレナ 神戸」のレベル、高いわ。
ランチの流れでお昼の女子会になるのかなと思っていたら、さえちゃんは帰宅。
「お邪魔してごめんね」
「いえいえ、それよりもこれからお菓子を作るので、良かったら食べてください」
「突然押しかけてきたオッサンに気をつかわないでいださいね」とK。
“オッサン”というのは、完全にオレのことだけを指している。1回アナコンダのいる檻にブチ込んでやらないと、コイツのナメた態度は治らないだろう。
お菓子作りはさえちゃんの趣味で、よく作っているとのこと。最近はモンブランケーキに凝っていて、生の栗を買って作るというのだから驚きだ。この日は、クマちゃんクッキーとスイートポテトを作ってくれた。
さすが、本格派だけあって、どちらもうまい。
改めて言うが、めちゃめちゃいいコやん!
至福のティータイムが終わり、しばしまったりとした時間を過ごす。さえちゃんはチクワちゃんをなでなでしながら、録画していたお気に入りのバラエティ番組を見て、時おりクスクス笑っている。こういう素のカワイさを捉えるのがこのコーナーの醍醐味のひとつであるはずなのに、撮影担当のKもさえちゃんと一緒になってチクワちゃんをなでなでしながらテレビを見ていたせいで、収穫ゼロ!! ホンマに1回発情期のダチョウのいる檻にブチ込んでやらないと、コイツのナメた態度は治らないだろう。
おもむろにさえちゃんは立ち上がり、キッチンへ。
「何をしてるの?」とKが聞いたところ(どこか彼氏面しているのが腹立つ)、晩ごはんを作るという。
「仕事前なので簡単なものしかできなくて、ごめんなさい」とさえちゃん。
何と、忙しい中、晩ごはんまで作ってくれたのだ!
しつこいようだがもう一度言おう、めちゃめちゃいいコやん!
さえちゃんが作るごはんは、シンプルにうまい。よく料理学校で習ったことをそのままして、手間をかけた割には全然うまくないという人がいるが、彼女の場合は手慣れていて、ひと口食べただけでポテンシャルの高さが分かる。彼氏になった人は幸せ太りすること間違いなしだ。
いよいよ出勤タイム。自宅からお店までは少し離れていて、いつもバスで出勤しているという。
さえちゃんが在籍する「フェレナ 神戸」といえば、露出度が猛烈に高いフェレナスーツ。フェレナスーツ姿のさえちゃんも見なければということで、お客さんとして彼女を指名。
私服姿の時は目立たなかったが、意外にもバストはボリューミー。谷間にホクロがあるそうで、スケベ心丸出しで見せてもらう。
彼女の接客は、とにかくほがらか。一部の人気嬢が発散するガツガツしたオーラもなく、いたって自然体でこちらを楽しい気分にしてくれる。本人曰く、思っていることが全部眉毛に出てしまうらいしが、むしろ楽しんで接客をしていることが伝わってきて気分が上がる。若い人からベテランのキャバクラファンまで、幅広くプッシュしたい女のコだ。
仕事が終わり、取材も終了。というハズはなく、密かに尾行。ゲスと言われようと知ったこっちゃない。
驚いたことにさえちゃんは自宅とは反対の方向に。もしや夜遊びに繰り出すつもりじゃあるまいな。
スタスタと歩き辿り着いたのは、お店からほど近い某ビル。彼女がエレベーターを降りた階をチェックすると、そこは女性専用のスポーツジム。さえちゃんはこの後、1時間ほど汗を流して帰路につきました。
さえちゃんが住んでいるのは、お洒落なデザイナーズマンション。コンクリートの打ちっぱなしの壁に合わせて、インテリアは白・黒・ブラウンといったシンプルな色合いでまとめているのがこだわり。特にお気に入りの場所は、大好きな香水がズラリと並んだ棚と、くつろぎスポットのソファとのこと。女のコっぽくて、いい!
さて、彼女がスポーツジムから帰ったところで再びチャイムを押す。
「えっ、終わりじゃなかったんですか?!」
「何をおっしゃいますやら、これからが本番です!」
さすがのさえちゃんも戸惑い気味。
「実はですね、さっきお店で見せてくれた胸元アップの写真を上回るセクシーショットを撮影したいんです」
「無理です無理です」
「いやいや、さえちゃんはデキるコや」
「そういう問題じゃなくて……」
ということで、がんばってくれたのがこのショット。
セクシーショットはホントに無理だったようで、お気に入りの部屋着で、はにかみショット。この時、夜中の3時過ぎ。お疲れのところ協力してくれるなんて、ホントに最後までめちゃめちゃいいコやん!
恒例の「イカすシール」をお店の看板に貼ろうとしたら、またまたシールを忘れてしまい、合成でペタリ。「フェレナ 神戸」をイカすキャバクラに認定!
さえちゃんはもちろんのこと、フェレナスーツは必見ですよ!
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